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小林 孝徳; 横山 啓一
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(10), p.1489 - 1493, 2016/10
被引用回数:6 パーセンタイル:49.29(Nuclear Science & Technology)セシウム原子(Cs), ヨウ化セシウム分子(CsI), ヨウ素原子(I), セシウムカチオン(Cs)、そしてヨウ素アニオン(I)のCフラーレン表面への吸着についての理論計算を行った。計算はCAM-B3LYP混合密度汎関数法で行った。吸着エネルギーはCs, CsI, I, Cs, Iでそれぞれ34, 3, 2, 11, 12kcal molと計算された。Cs原子の吸着平衡定数は、1000Kにおいて710 atmと計算された。これはCsIのそれと比較して10倍もの数字である。これは、CはCsIを吸着せずに、Csを選択的に吸着することができる可能性があることが示唆された結果である。
山口 徹治
JAERI-Data/Code 2000-031, 131 Pages, 2000/11
放射性廃棄物の地層処分の安全評価において元素の溶解度は、放射性核種の移行解析のソースタームを与えるパラメータである。また放射性核種は地下水の化学的特性に応じてさまざまな化学形をとり、化学形に応じて移行特性も多様である。そこで、熱力学データを用いて溶解度を評価し、化学形を推定することが重要となる。溶存種及び化合物の熱力学データをNpとPuについて検討し、データベースとしてまとめた。地下水中で支配的になる可能性の高い加水分解種や炭酸錯体について重点的に検討し、そのほかの化学形については既存のデータベースにおける検討結果を取り入れてデータを設定した。第1編及び本報で検討したTc,U,Np,Pu,Am以外の注目元素については検討が未了であり、暫定的な利用のために付録としてデータを示した。
Savage, D.*; Lemke, K.*; 笹本 広; 柴田 雅博; Arthur, R. C,*; 油井 三和
JNC TN8400 2000-004, 30 Pages, 2000/01
本報告書では、セメント-水反応に係わるモデルのレビューおよび収集したセメント系鉱物の熱力学データについて報告する。本報告書でまとめた熱力学データには、鉱物およびセメントを構成する化合物の標準モル熱力学特性、関連する水和反応の平衡定数を含む。また、高アルカリ性環境下で安定な鉱物(例えば、沸石など)についても同様にデータ整備を行った。これらの鉱物は、放射性廃棄物処分場におけるセメント系材料から流出する高アルカリ性溶液と処分場周辺の岩盤との反応の結果生成すると考えられる。標準モル特性(すなわち、生成標準モルギブス自由エネルギー、生成標準モルエンタルピー、標準モルエントロピー)、関連する水和反応の平衡定数については、以下の文献による。・セメント鉱物および関係する混合物(Reardon,1992;Glasserほか、1999)・カルシウム-珪酸水和鉱物(Sarkarほか、1982)・沸石(熱量測定の値、様々なデータからの推定値)これらの全データは、個々の値としてとらえるべきものであり、データ全体としての内部整合性はとれていないかもしれない点に注意すべきである。また、本報告の中では、これら個々のデータの精度については評価していない点も留意する必要がある。近年、セメント-水系における幾つかの適切なモデルが提案されている。これらのモデルの多くは、CSHゲル-水系の室内実験データへの経験的な適合を示すものであり、熱力学的に正当化されているものではない。一方、近年、CSHゲルに適した固溶体挙動の熱力学的理論に基づいたモデル化手法が提案されている。この手法については、本報告書の中でレビューすると共に、JNCが行ったセメント-水反応に係わる実験結果と比較することにより検証した。固溶体モデルは、CSHゲルをポルトランダイトとカルシウム-珪酸塩を端成分組成とした非理想固溶体として表現する熱力学的・構造的に妥当なモデルである。2つの端成分の混和性の違いや溶解度は、固溶体の溶解挙動を調べるためのコンピュータコードである「MBSSAS」を求めた。MBSSASを用いて作られたLippmann相図は、ゲルの固溶体と平衡にある溶液組成を計算するPHREEQCへのデータを入力するために用いられた。ゲルの固溶体モデルで計算された溶液組成とCSHゲル-水系に係わる文献の実験データはよく一致している。
油井 三和; 東 侍郎; 柴田 雅博
JNC TN8400 99-070, 106 Pages, 1999/11
本報告書は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の性能評価を行うために開発された放射性元素の熱力学データベース(JNC-TDB)について記述する。「地層処分研究開発第2次とりまとめ」に向けて行われた熱力学データベース開発の現状、第2次とりまとめにおいて用いられたデータセット、および今後の課題を示した。本熱力学データベース(JNC-TDB)の開発は、第一次とりまとめ(H3報告書)での課題をもとに進められた。熱力学データは、原則として、実験データにまでさかのぼり、その評価を行って選定された。データは、標準状態(25、I=0)での平衡定数として整理された。結果として、第一次とりまとめで用いられた熱力学データベースと比較し、データの追跡性が確保されるとともに、その信頼性が向上された。各元素のデータの検討や選定に関しての詳細は、本報告書中で引用している個別の技術資料を参照されたい。
小田 治恵; Arthur, R. C,*; 笹本 広; 柴田 雅博; 油井 三和; 根山 敦史*
JNC TN8400 99-079, 287 Pages, 1999/09
本報告書では、高レベル放射性廃棄物地層処分の研究開発をサポートする地球化学計算のための2種類の熱力学データベースについて報告する。一つは、SPRONS.JNCであり、この熱力学データベースは、SUPCRTモデル・ソフトウェアの中で考慮されている熱力学的な関係式を基にしており、SUPCRTソフトウェアを用いることで、広範囲にわたる圧力・温度条件(圧力:15000 bars,温度:01000)下での鉱物、ガスおよび水溶液化学種の標準モル熱力学特性・部分モル熱力学特性を計算することができる。SPRONS.JNCは、195種類の鉱物・16種類のガスについて、25、1barの条件下での生成標準モルギブス自由エネルギー、生成標準モルエンタルピー、標準モルエントロピーおよび体積に関するデータを含むと共に、Maier-Kelly式による熱容量の温度依存式を適用した場合の各係数についても整備している。またSPRONS.JNCは、1147種類におよぶ無機・有機イオンや錯体について、25、1barの条件下での生成標準モルギブス自由エネルギー、生成標準モルエンタルピー、標準部分モルエントロピーおよびHelgeson-Kirkham-Flowers(HKF)式による温度依存に係わる係数も整備している。SPRONS.JNCは、1991年以降に公開された新たなデータや改訂されたデータを取り入れたものであり、他の同様な熱力学データベースの拡張版である。もう一つのデータベースは、PHREEQE.JNCであり、これは、地球化学計算コードである「PHREEQE」で用いることができる熱力学データベースである。PHREEQE.JNCは、鉱物の溶解反応、ガスの溶解反応、水溶液化学種を含む反応、酸化還元反応について、25、1barの条件下での平衡定数を算出できる様に反応エンタルピーあるいは平衡定数(log K)の温度依存に係わる各係数についても整備している。PHREEQE.JNCに含まれる平衡定数、反応エンタルピーおよび平衡定数の温度依存に係わる係数の全ては、SUPCRTソフトウェアおよびSPRONS.JNCを用いて計算されているので、PHREEQE.JNCとSPRONS.JNCは、同一の熱力学データベースである。またこれらの熱力学データベースに含まれる全てのデータは、基本的な熱力学の定義やSUP
Choppin, G. R.*; Bronikowski, M.*; Chen, J.*; Byegard, J.*; Rai, D.*; 油井 三和
JNC TN8400 99-012, 155 Pages, 1999/01
本研究では、地層処分システム性能評価のための熱力学データベースJNC-TDB(旧PNC-TDB)整備の一環として、V価およびVI価のアクチニド化学種(AnO and AnO)に関する熱力学データ整備を行った。本研究では、これらの元素に対して、水酸化物錯体の他、塩化物、フッ化物、炭酸、硝酸、硫酸及びリン酸を含む錯体もしくは化合物に関する熱力学データ整備を行った。Born equationによる安定度定数(log)の推定、Pitzer parameterの検討、酸化還元反応の電位および平衡定数の検討も併せて行った。
山口 徹治; 武田 聖司
JAERI-Data/Code 99-001, 74 Pages, 1999/01
放射性廃棄物の地層処分の安全評価において放射性核種の溶解度は、廃棄体中の放射性元素が地下水にどの程度溶けるかを決めるものであり、その値は放射性核種の移行解析のソースターム、即ち廃棄体からの核種の溶出量を決めるパラメータとして用いられる。また地下水の化学的特性に応じて放射性核種は様々な化学形をとり、移行特性も多様である。溶解度を計算するとともに、化学形を推定するための熱力学データをTc,Am,Uについて検討し、データベースとしてまとめた。典型的な組成の地下水中で支配的になる可能性の高い加水分解種や炭酸錯体について重点的に検討を行い、その他の化学形については既存のデータベースにおける検討結果を取り入れてデータを設定した。Tc,U,Am以外の注目元素については検討が未了であり、暫定的な利用のために付録としてデータを示した。
大久保 博生*
PNC TJ1222 98-007, 135 Pages, 1998/02
本年度は、まず前年度までに作成した総合評価フレームに基づき、最適ケイ砂混合率求解プロセスを大域的最適点を決定するプロセスに改良化した。次に、物質移動抑制機能に関し、前年度解析した分子軌道に基づくベントナイトの吸着機能計算結果等をもとに、ケイ砂混合率の変化が吸着機能に与える影響可能性を概略的に検討した。最後に、改良化した総合評価フレームに吸着機能のケイ砂混合率依存性の想定結果を適用できることを確認した。
河村 繕範; 榎枝 幹男; 奥野 健二
Fusion Engineering and Design, 39-40, p.713 - 721, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Nuclear Science & Technology)固体増殖ブランケット内で増殖されたトリチウムの放出挙動を把握するためには、各移動過程でのトリチウムの移動速度とインベントリーを求める必要がある。特に表面反応の影響が無視できないことが指摘されており、筆者らは、水分吸脱着挙動等の系統的調査を行ってきたが、今回は、水素添加スイップガスを用いた際に生じる同位体交換反応に着目し、リチウムジルコナート充填層を用いたH-D系交換反応実験を行った。交換反応は気相水素-表面吸着水間の交換反応が律速であることがわかり、データより反応速度定数及び平衡定数を得た。これにより増殖トリチウムを回収する際にスイープガスに添加すべき水素濃度の算出が可能である。また、物質移動抵抗を水分脱着と比較し、条件によっては、水素を添加しても効果がみられない場合があることを指摘した。
山口 徹治; 中山 真一
放射性廃棄物研究, 3(1), p.49 - 61, 1996/08
炭酸イオン共存系におけるAm(III)の熱力学データを報告した5ヶ国の6研究機関による7件の研究報告をレビューし、データの妥当性を検討した。Am(III)の1炭酸錯体、AmCoについては複数の研究グループの見解がかなりよく一致している。しかし高次の錯体については炭酸錯体だけが生成するとする説と、炭酸錯体とヒドロオキシ炭酸錯体の両方が生成するとする説の2つが存在する。それぞれの原著をレビューしてこの相違の原因を検討した結果、後者の説のように炭酸錯体のみでなく、ヒドロオキシ炭酸錯体も生成することがわかった。炭酸錯体とヒドロオキシ炭酸錯体の両方の存在を仮定して、例示的にスペシエーションを行った。